「変形性股関節症だから仕方ない」への向き合い方——骨の変形と痛みは、実はイコールではありません

変形性股関節症と診断され、股関節を押さえて痛がる女性と、股関節の骨を赤く示したレントゲン画像。「骨の変形と痛みは、実はイコールではありません」という文字が入ったコラムのヘッダー画像。

「レントゲンで、股関節の骨の変形を指摘された」「生まれつき臼蓋(きゅうがい/骨盤側の受け口の部分)が浅いから仕方ないと言われた」——そんな診断を受けて、この先ずっとこの痛みと付き合っていくしかないのかと、不安になっていませんか?今回は、変形性股関節症・臼蓋形成不全と診断された方に向けて、当院が大切にしている考え方をお伝えします。

目次

「生まれつきだから仕方ない」への向き合い方

臼蓋形成不全とは、骨盤側にある股関節の受け口(臼蓋)が、生まれつき浅い状態のことを指します。受け口が浅いぶん、大腿骨の先端(骨頭)が不安定になりやすく、将来的に変形性股関節症へと進行しやすいと言われています。

この診断名を聞くと、「生まれつきの骨の形だから、もう手の施しようがない」と感じてしまう方がほとんどです。しかし、当院が臨床の中で感じているのは、骨の形そのものの程度と、実際の痛みの強さは、必ずしも比例しないということです。同じくらい臼蓋が浅い方でも、ほとんど痛みなく過ごしている方もいれば、強い痛みに悩まされている方もいます。この違いを生んでいるものこそが、次にお伝えする「膜の痛み」です。

変形の”痛み”の正体——骨の変形と、引きつれている膜は別の問題

「骨が変形している=骨同士がぶつかって痛む」と考えてしまいがちですが、実際にはそう単純ではありません。

臼蓋が浅い状態が続くと、大腿骨頭は少しずつ本来の位置からズレていきます。すると、股関節を包む関節包(かんせつほう/関節をすっぽりと覆っている袋状の膜)や、まわりの靭帯といった深層膜(しんそうまく/体の深いところにある膜組織)が、そのズレに引っ張られて、常に引きつれた状態になってしまいます。この「引きつれ」こそが、変形性股関節症の痛みの多くを占めていると当院では考えています。

骨そのものの変形は、施術で元の形に戻すことはできません。しかし、骨頭を負担の少ない位置へ丁寧に導き、その変化に取り残されている深層膜の緊張がゆるめば、変形の程度はそのままであっても、引きつれが解放されて痛みが軽減し、歩行がスムーズになるケースは、臨床の中で数多く見られます。「変形=痛みが一生変わらない」というのは、必ずしも正しくないのです。

柔軟な人ほど見落とされやすい理由

「体は柔らかいほうだから、股関節も大丈夫」と思っている方ほど、実は見落とされやすいという側面があります。バレエや新体操の経験がある方のように、一見とても柔軟で関節がよく動く方であっても、股関節が特定の方向にだけ強くズレてロックしてしまっていることがあるからです。

全体的な柔らかさと、股関節が正しい位置で動けているかどうかは、まったく別の問題です。「柔軟性があるのに、なぜか股関節や膝の調子がよくない」という方は、特定方向への偏ったズレが隠れているサインかもしれません。

無理に引っ張らない・強引に回さないという当院の施術方針

変形性股関節症の方にとって、「施術を受けて、かえって痛めてしまうのではないか」という不安は、とても大きいものだと思います。当院では、変形や固着のある股関節に対して、強い力で足を引っ張ったり、無理に大きく回したりする施術は行いません。

まず土台となる骨盤のねじれを整え、そのうえで骨頭が臼蓋の中でもっとも負担の少ない位置に収まるよう、そっと優しく導きます。強い力で押し込むのではなく、その位置で深層の筋肉や靭帯の緊張が自然にゆるんでくるのを、丁寧に待つイメージです。この考え方は、歩行時の脱力や重さについて解説した以下のコラムでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

変形はそのままでも、目指せる状態があります

誤解のないようにお伝えしたいのですが、当院の施術によって、骨の変形そのものを治すことはできません。「完全に元通りになる」という過度な期待をお約束することもできません。

それでも、変形はそのままであっても、引きつれていた深層膜が解放されることで、日々の痛みが和らぎ、歩くことへの不安が減り、「杖なしで買い物に行けるようになった」「正座はできなくても、階段が怖くなくなった」というように、日常生活の負担が軽くなることは十分に目指せます。骨の変形の程度だけで「もう仕方ない」と諦めてしまう前に、痛みの本当の原因を分けて考えてみていただきたいと思います。

初期・進行期・末期——段階によって、当院にできることは変わります

ここまでお伝えしてきた「膜の痛み」という考え方は、どんな進行度であっても同じように当てはまるわけではありません。誠実にお伝えすると、変形性股関節症には初期・進行期・末期という段階があり、当院が力になれる度合いも、この段階によって変わってきます。

初期から進行期にかけては、臼蓋や骨頭の形はある程度保たれており、痛みの多くが深層膜の引きつれによるものであるケースが多いため、施術によって歩行の負担が軽くなる余地は十分にあります。一方、特に高齢の方で末期の状態まで進んでいる場合、股関節の受け口である臼蓋そのものがすり減ってほとんどなくなっていることもあり、その状態そのものを施術で回復させることは、正直に申し上げて難しいと考えています。

だからこそ、当院では「もう少し様子を見てから」と先延ばしにするのではなく、強い痛みが出て日常生活に支障が出る前の、できるだけ早い段階でご相談いただくことをおすすめしています。今ご自身がどの段階にあるのかは、初回のカウンセリングで丁寧に確認したうえで、率直にお伝えするようにしています。

まとめ

変形性股関節症や臼蓋形成不全という診断名は、決して「打つ手がない」という意味ではありません。骨の変形と、痛みの主な原因である深層膜の引きつれは別の問題であり、後者には施術でアプローチできる部分があります。当院独自の整体法では、無理に引っ張ったり回したりすることなく、丁寧に隙間をつくりながら、変形とうまく付き合っていける体を目指します。「変形性股関節症と言われて諦めかけている」という方は、一人で抱え込まず、症状別ページもあわせてご覧のうえ、一度ご相談ください。

この記事を書いた人

整体院アクシス 院長 笹井公詞

2005年11月、一宮市に「整体院アクシス」を開院。整体師歴23年。
腰や肩の痛み、手足のしびれ、膝痛など、体の不調に苦しむ人のために、骨格矯正を中心とした整体施術で地域に貢献。これまで延べ45,000人以上のお客様の健康に携わる。

院名:整体院アクシス
住所:愛知県一宮市富士3丁目9-18
TEL:0586-25-5707
HP :https://hcc-axis.com/

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