「正座は膝に悪い」——それは本当ですか?正座・しゃがむと膝が痛む本当の理由

正座をしながら膝を押さえる女性と、「『正座は膝に悪い』——それは本当ですか? 正座・しゃがむと膝が痛む本当の理由」というタイトルが配置された膝痛コラムのヘッダー画像。

法事のたびに膝が気になる。孫と床で遊んでやれない。しゃがもうとすると、痛みで途中で止まってしまう——そんな場面のたびに「正座は膝に悪いから仕方ない」「年齢のせいだから」と、自分に言い聞かせてきた方は多いのではないでしょうか。

でも、その「仕方ない」は、本当に正しいのでしょうか。

このコラムでは、正座・しゃがみで膝が痛む仕組みを、膝の構造と全身のつながりという二つの視点から読み解いていきます。「なぜ痛むのか」が腑に落ちると、「何をすればいいか」も見えてきます。

整体師コラム  |  一宮市の整体院アクシス

目次

膝は正座ができるように設計されている

膝関節(大腿脛骨関節)は「蝶番関節」と呼ばれ、折りたたみ式のように曲げ伸ばしする構造をしています。大腿骨の関節面は、側面から見ると後方にいくほどカーブがきつくなる形状——つまり、深く曲げることを前提にした設計です。

正座という動作は、その設計の範囲内にあります。「正座が膝に悪い」のではなく、「正座ができなくなるほど膝の状態が変化している」というのが正確な表現です。

「正座は膝に悪い」という言葉を信じて動かすのをやめると、膝はますます動かなくなります。「なぜ正座ができないのか」という問いを立てることが、改善への第一歩です。

正座・しゃがみで何が起きているのか

膝を深く曲げるとき、関節の中では複数の動きが精密に連動しています。この連動が乱れると、痛みや引っかかりとして現れます。

理由01 脛骨が「外旋固定」されていて、曲げはじめがうまくいかない

膝を曲げる最初の動き(0〜20°あたり)では、すねの骨(脛骨)がわずかに内側に回転するのが正常な動きです。これが「深曲げへの助走」になっています。

ところが、多くの方は脛骨が外側に回旋したまま固まっています。この状態で無理に曲げると、骨が不正な角度で動くため、関節面同士がぶつかり痛みが出ます。「ある角度から急に痛くなる」「引っかかる感じがある」という方は、ここに問題があることが多いです。

理由02 関節の「隙間」が不均一になり、骨同士が当たっている

健康な膝関節には、骨と骨の間に一定の「すき間」が保たれています。このすき間があることで関節液が循環し、膝は滑らかに動きます。

あぐら・横座り・足を組む習慣、あるいは骨盤のゆがみが長年積み重なると、内側だけがつぶれるなど、すき間が偏り始めます。すき間が均一でなくなると、深く曲げるたびに骨や軟骨が当たり、炎症が起きます。これが「ズーンとした重い痛み」の正体です。

マッサージや湿布でいったん楽になっても、すぐ戻る——という経験がある方は、この「隙間のつぶれ」が解消されていないことがほとんどです。

「この炎症が繰り返すと水がたまる原因にもなります。詳しくはこちら。

理由03 膝のお皿(膝蓋骨)がずれていて、深曲げのブレーキになる

膝蓋骨は、膝を深く曲げるほど大腿骨の溝の上をスライドする必要があります。ここが固まっていたり、位置がずれていると、深曲げの途中でブレーキがかかり、それが痛みや突っ張り感として現れます。

正座・しゃがみで困っている方の多くで、この膝蓋骨の動きが制限されています。見落とされやすい部分ですが、深く曲げるための重要なパーツです。

膝は「被害者」——本当の原因は上下にある

ここが、整形外科と当院の考え方が大きく異なるところです。

膝が痛いとき、多くの医療機関では「膝の軟骨がすり減っている」「膝に炎症がある」という事実を確認します。それは正しい観察です。しかし、そこで止まってしまうと、「なぜすり減ったのか」「なぜ炎症が繰り返すのか」という問いに答えられません。

病院・整形外科の見方当院の見方
膝を「問題のある部位」として診て、注射・湿布・手術を検討する膝を「しわ寄せを受けた結果」と見て、原因となる上下の関節を矯正する
軟骨のすり減り=加齢として、経過観察か手術かを判断する骨盤・股関節・足首のゆがみで不均等な圧力が膝にかかり続けた「結果」と見る

骨盤・股関節のゆがみが膝を押しつぶす

骨盤が正しい位置にないと、大腿骨の角度が変わります。角度が変われば、膝関節への力のかかり方も変わり、関節の隙間が偏ります。特に、深く曲げたときに痛みが出やすい方は、股関節の動きが制限されていることで膝に余分な負担が集中しているケースが多いです。

足首のズレがしゃがみを妨げる

しゃがむ動作では、足首が大きく曲がる必要があります。足首の関節(距骨など)がズレて固まっていると、この動きが出せません。すると膝が「代役」として余分な角度を引き受け、関節面に不要な負担がかかります。「しゃがもうとするとかかとが浮く」という方は、足首の硬さが膝の痛みに直接つながっていることがあります。

靭帯・関節包が「狭い状態」を固定してしまう

隙間がなくなった状態が続くと、周りの靭帯や関節包(関節を包む膜)が「狭い状態」のまま硬着してきます。こうなると、筋肉をいくら緩めても深い場所の「固まり」は取れません。「ほぐしてもらったときは楽なのに翌日にはまた元通り」という繰り返しには、この硬着が大きく関係しています。

実はその対処法が回復を妨げているケースがあります。

「二階で生活してみたい」と希望された70代の方の症例

元々当院に通っている息子さんのご紹介で来院された70代の女性の症例です。

3年ほどウォーキングをかかさず続けられていましたが、ある時に膝に痛みを感じ来院されました。

痛みのある個所を確認すると、右ひざの皿の下、若干内側よりのところ。病院では鵞足炎といわれるような部分に痛みを感じていました。初回の施術で鵞足部分の筋膜リリースを行ったところ、その場で痛みがかなり改善し、とても喜んでいました。その後、次の2回目の施術で痛みは解消し、趣味のウォーキングもまた再開できるようになりました。

しかし、暫くしてから法事で正座をする機会があり、無理をして正座していたところ、膝の痛みが悪化。そこからまた膝の調整を再開しました。今度はかなり手ごわく、症状は一進一退を繰り返していました。近所のお友達や家族からも「整形外科にいったら」と声をかけていただいたそうですが、以前に当院で膝痛が改善していることから私を信じていただき「先生を信じて整形外科には行かずここで治します」と決意され通院されました。

施術は、骨盤、股関節、膝関節、足首、背骨、肩甲骨など、各関節のゆがみと硬さを矯正し、全身のバランスを取り戻せるように整えていきました。なかでも股関節と膝関節はかなり固まっていて、矯正には正直手こずりました。

その後、矯正の甲斐もあり徐々に改善していき、時間はかかりましたが、ついに半年後、膝の激痛がなくなりすいすいと歩けるまで回復されました。

実はこの方、通院中に家の立て直しが決まっていて、そこで抱いた夢が「ずっと平屋で暮らしてきたので、一度、二階で生活してみたい」というものでした。これにもご近所のお友達から「その年でそんなの無理だよ」と言われたそうですが「先生に治してもらって二階で生活する」と気持ちは変わりませんでした。

今では、法事で正座しても膝が痛くなることはなく、二階の自分の部屋で眺めを楽しみながら生活されています。

まとめ

正座やしゃがみでの膝の痛みは、「膝が悪い」という単純な話ではありません。脛骨の回旋固定、関節の隙間の偏り、膝蓋骨の問題——これらが重なり、さらに骨盤や足首という「膝の外」にある原因が積み重なって起きていることがほとんどです。

「正座は膝に悪い」のではなく、「正座ができなくなるほど、膝とその周辺の状態が変化している」。その変化に気づき向き合うことが、取り戻すための出発点です。

「自分の膝はどんな状態なのだろう」と気になった方は、膝の痛みの症状別解説ページもあわせてご覧ください。正座・しゃがみだけでなく、階段・腫れ・安静時痛など、それぞれの症状で何が起きているかと、当院のアプローチをまとめています。

この記事を書いた人

整体院アクシス 院長 笹井公詞

2005年11月、一宮市に「整体院アクシス」を開院。整体師歴23年。
腰や肩の痛み、手足のしびれ、膝痛など、体の不調に苦しむ人のために、骨格矯正を中心とした整体施術で地域に貢献。これまで延べ45,000人以上のお客様の健康に携わる。

院名:整体院アクシス
住所:愛知県一宮市富士3丁目9-18
TEL:0586-25-5707
HP :https://hcc-axis.com/

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