「まだ痛くないから」その股関節の違和感、見過ごしていませんか?——見逃してはいけない3つのサイン

股関節の違和感を感じる女性と、見逃してはいけない3つのサインを示した画像。脚の付け根の張り、あぐらのかきづらさ、股関節の軽い詰まり感を紹介。

「歩くとき、なんとなく股関節が突っ張る感じがする」「時々、股関節でパキッと音が鳴るけれど、痛みというほどではない」——そんな、症状と呼ぶにはまだ軽い違和感に、心当たりはありませんか。「痛くないから、まだ大丈夫」と思って見過ごしている方は少なくありません。しかし、股関節のトラブルは、いきなり激しい痛みから始まることはほとんどないというのが、臨床の中で見えてきた実感です。今回は、この「違和感」の段階で知っておいていただきたいことをお伝えします。

目次

股関節の正常な状態とは——「臼と杵」の関係

股関節は、骨盤側にある丸くくぼんだ受け口(臼蓋)に、太ももの骨の先端にある丸い部分(大腿骨頭)がすっぽりとはまり込む、球関節と呼ばれる構造をしています。ちょうど、餅つきの臼と杵のような関係です。正常な状態では、この骨頭と受け口の間に均一なすき間が保たれたまま、なめらかに動くようになっています。

あまり知られていないことですが、大腿骨の骨頭は、骨の軸に対しておよそ125度の角度で曲がってついています。この角度は年齢とともに少しずつ変化していき、個人差はあるものの、角度が小さくなっていくと、上半身の重さを支えきれず、骨の首の部分が折れやすくなると言われています。高齢の方の骨折は「転んだから折れた」と思われがちですが、実際には「骨が弱くなって折れたことで、転んでしまった」というケースも少なくないのです。股関節の状態を日頃から整えておくことは、痛みの予防だけでなく、将来の思わぬケガを防ぐことにもつながっています。

見逃してはいけない3つのサイン

股関節が本格的に悪化していく前には、当院の臨床経験上、3つの場所にサインが現れやすいと感じています。

1つ目は、腸腰筋(ちょうようきん)の過緊張です。腸腰筋は、背骨や骨盤の内側から太ももの付け根にかけてつながる、体幹と脚をつなぐ筋肉です。ここが過緊張を起こしていると、指で軽く押しただけでも圧痛(押されると痛みを感じること)があったり、脚の付け根に張りを感じたりします。

2つ目は、仙腸関節(せんちょうかんせつ)と深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)です。仙腸関節は骨盤の中心にある関節、深層外旋六筋はお尻の奥にある6つの小さな筋肉群のことです。この2か所が硬くなっていると、股関節の可動域そのものが制限され、「あぐらがかきづらい」という自覚症状として現れやすくなります。

3つ目は、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)や腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)です。太ももの外側にあるこの部分の滑走性(周囲の組織とスムーズに滑るように動く性質)が落ちてくると、股関節の内側や外側にひねる動きにわずかな制限が生じ、「股関節の軽い詰まり感がある」という感覚につながります。

この3つは、単独ではなく絡み合って現れることがほとんどです。「あぐらがかきづらくなった」「股関節に軽い詰まり感がある」というのは、股関節が発する最初のSOSです。多くの方はこの段階を「年齢のせい」「疲れているだけ」とやり過ごしてしまいますが、私たちはこのタイミングこそ、重症化を防ぐための一番のチャンスだと考えています。

「痛みが出てからでは遅い」——体が学習してしまう、危険な代償動作

違和感の段階で対応することを、当院がこれほど大切にしている理由は、痛みが出てしまってから体に起こる変化にあります。股関節に痛みが出ると、体は無意識のうちに「痛くない歩き方」を覚えてしまいます。一見、賢く痛みを避けているようですが、これは股関節をかばうために、膝や腰、反対側の股関節にまで余計な負担を分散させているにすぎません。

この「痛くない歩き方」が習慣として定着してしまうと、たとえ股関節そのものの状態が改善しても、体はかばう歩き方をなかなか手放せなくなり、今度は膝や腰に新たな痛みが出てくることも少なくありません。違和感の段階で関節の状態をリセットしておくことは、股関節だけでなく、体全体の崩れを未然に防ぐことと同じ意味を持っています。

日常に潜む小さなリスク習慣

この違和感を生み出す背景には、足を組む・横座りをするといった日常の座り方や、良かれと思って行っている過剰な股関節のストレッチが関わっていることがよくあります。このあたりの詳しい仕組みについては、股関節の前側の痛みについて解説したこちらのコラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

違和感の段階だからこそ、できることがあります

股関節の違和感が、まだ軟骨がすり減る前の「機能的な問題」の段階であれば、骨格のリポジショニング(正しい位置への誘導)によって、正常な適合状態に戻しやすいというのが当院の考え方です。痛みが強くなってからよりも、この段階の方が、体への負担も少なく、変化を実感していただきやすい傾向にあります。

まとめ

股関節の軽い違和感は、「まだ痛くないから大丈夫」ではなく、「まだ間に合ううちに気づけたサイン」だと当院では考えています。腸腰筋・仙腸関節まわり・大腿筋膜張筋という3つのポイントに現れる小さなサインを見逃さず、体が代償動作を覚えてしまう前に対応することが、将来の重症化や手術リスクを防ぐ一番の近道です。「あぐらがかきづらい」「股関節に軽い詰まり感がある」という方は、一人で抱え込まず、症状別ページもあわせてご覧のうえ、一度ご相談ください。

この記事を書いた人

整体院アクシス 院長 笹井公詞

2005年11月、一宮市に「整体院アクシス」を開院。整体師歴23年。
腰や肩の痛み、手足のしびれ、膝痛など、体の不調に苦しむ人のために、骨格矯正を中心とした整体施術で地域に貢献。これまで延べ45,000人以上のお客様の健康に携わる。

院名:整体院アクシス
住所:愛知県一宮市富士3丁目9-18
TEL:0586-25-5707
HP :https://hcc-axis.com/

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