スマホ・猫背からくる肩こり——うつ伏せの「手の位置」でわかる肩甲骨のずれ

スマホの使用による猫背と肩こり、うつ伏せの手の位置から見る肩甲骨のずれを解説するイラスト

スマホやパソコンを使う時間が長くなると、肩や首がこってくる。多くの方が感じていることだと思いますが、実は私自身もそのひとりです。パソコン作業の時間が長い日が何日か続くと、肩や首がこり、痛みが出てきます。ひどくなると、めまいのような症状が出たこともありました。

施術をする立場の私でも、画面に向かう時間が続けば体は正直に反応します。だからこそ、スマホやパソコンからくる肩こりが「気合い」や「姿勢を意識する」だけではなかなか抜け出せないことも、身をもって感じています。

このコラムでは、スマホ・猫背からくる肩こりで体の中に何が起きているのかを、当院での施術例とあわせてお伝えします。うつ伏せになるだけでできる、肩甲骨のずれのセルフチェックもご紹介します。

目次

画面を見ているとき、体の中で起きている連鎖

スマホやパソコンを見ているとき、体の変化は「目」から始まります。画面を見つめ続けると、首の付け根の奥にある小さな筋肉(後頭下筋群:こうとうかきんぐん)が休みなく働き続けます。この筋肉は、目の動きと連動して頭の位置を細かく調整していることが知られています。目を酷使すると首の付け根が張ってくるのは、そのためです。

首の付け根が固まると、頭とアゴが前に出た姿勢のまま動きにくくなります。頭の重さは体重のおよそ1割。その頭が前に出た状態を支えようとして背中が丸まり、骨盤も後ろへ倒れていきます。そして最後に、背中の丸まりに引きずられるように、肩甲骨が外側へと広がっていくのです。

目から始まった変化が、首、背中、骨盤、そして肩甲骨へと広がっていく。スマホ・猫背からくる肩こりは、肩だけの問題ではなく、こうした全身の連鎖の結果として起きています。猫背と骨盤の関係については、こちらのコラムでも詳しく解説しています。

「肩こり筋」を揉んでも変わらない——本当の問題は肩甲骨の位置

肩こりというと、首から肩にかけて広がる僧帽筋(そうぼうきん)を思い浮かべる方が多いでしょう。「肩こり筋」と呼ばれることもあるほどです。そのため、肩こりがつらいと、この僧帽筋を一生懸命揉んでもらう方も少なくありません。

しかし当院では、僧帽筋そのものよりも「肩甲骨がどこにあるか」を重視しています。僧帽筋は体のいちばん表面にある筋肉で、首や背骨から肩甲骨に向かって伸びています。肩甲骨が本来の位置より外側に広がっていると、僧帽筋は首と肩甲骨の間で引き伸ばされたまま、休めなくなってしまうのです。

左右に引っぱられたままの輪ゴムを想像してみてください。ゴムの表面をいくらもみほぐしても、両端を引っぱる力が変わらなければ、ゴムはピンと張ったままです。片方の端を内側に戻してあげて、はじめてゴムはゆるみます。僧帽筋がゴム、外へ広がった肩甲骨が引っぱっている端です。肩甲骨が本来の位置に戻れば、僧帽筋のこりは自然と和らいでいきます。

さらに厄介なのは、外へ広がった肩甲骨が、自分の力ではなかなか元の位置に戻れないことです。肩甲骨の裏側には、肋骨との間をつなぐ前鋸筋(ぜんきょきん)や肩甲下筋(けんこうかきん)といった筋肉があります。猫背の姿勢が長く続くと、これらが肋骨の上にベッタリと張り付くように固まり、肩甲骨は外へずれた位置のまま動けなくなってしまいます。背筋を伸ばそうと意識しても、肩甲骨そのものが戻れなければ、こりはまたすぐに顔を出します。

セルフチェック:うつ伏せの「手の位置」でわかる、肩甲骨のずれ

では、自分の肩甲骨が外に広がっているかどうかは、どうすればわかるのでしょうか。肩甲骨の状態を知るひとつの目安として、うつ伏せに寝たときの「手の置き方」に注目する見分け方があります。布団やベッドにうつ伏せになり、いちばん楽だと感じる場所に手を置いてみてください。

  • 手を体の横に添えて置くのが楽な方は、肩甲骨の位置が比較的保たれていて、肩こりもそれほど強くない傾向があります。
  • 手を体の横に広げ、ベッドから腕をだらんと垂らすのが楽な方は、肩甲骨が外に広がり始めていて、肩こりもだいぶ進んでいる可能性があります。
  • 手を頭のほうへ持っていかないと落ち着かない方は、肩甲骨が大きく外へ広がった状態が長く続いている、重い肩こりのサインかもしれません。頭痛や耳鳴りを伴っていることもあります。

もう一つの目安が、後ろ姿です。肩こりが少ない方の肩甲骨は、脇の下に近いあたりでも、背中の幅からはみ出していません。ご家族に背中を見てもらい、肩甲骨の外側の縁が脇のほうへ張り出していないか確かめてみるのもよいでしょう。

いずれも、あくまで目安です。あてはまったからといって必ず重症というわけではありませんが、ご自分の体を見直すきっかけにしてみてください。

【症例】肩と首の境目のこりが取れなかった、50代男性

長年、肩こりに悩まされてきた50代の男性のケースです。特に肩と首の境目あたりのこりが強く、常にこりが気になっている状態でした。

この方の肩甲骨をよく見てみると、本来あるべき位置から、かなり外側にずれていることが確認できました。まさに、引っぱられたままの輪ゴムの状態です。肩と首の境目は僧帽筋が通る場所で、外へずれた肩甲骨に引っぱられて、いちばん負担がかかっていたと考えられます。

そこで、いきなり肩甲骨を動かすのではなく、まず骨盤、胸椎、肋骨と、土台から順番に矯正していきました。そのうえで肩甲骨を、本来の位置である内側に向かって整えていったところ、「頑固な肩こりがずいぶん和らいだ」と教えてくださいました。

当院の施術——骨盤から順に、肩甲骨を本来の位置へ

症例の男性のように、肩甲骨が外へずれている方でも、当院独自の整体法では肩甲骨からいきなり触ることはしません。肩甲骨は肋骨の上に乗っていて、肋骨は胸椎(背中の骨)に、胸椎は骨盤の上に積み重なっています。土台が崩れたまま肩甲骨だけを内側に戻しても、すぐにまた外へ流されてしまうからです。

そのため、まず骨盤を整えて背骨が立ちやすい状態をつくり、次に胸椎と肋骨の動きを取り戻します。肩甲骨が滑らかに動ける土台が整ったところで、最後に肩甲骨を本来の位置へと導いていきます。強い力で押したり、ボキボキ鳴らしたりすることはありません。

また、私自身のように、パソコン作業が続いてめまいのような症状が出る方もいらっしゃいます。肩や首の緊張が強くなると、こうした症状を伴うことがありますが、めまいが強い場合や、ふらつき・しびれ・ろれつが回らないといった症状を伴う場合は、まず医療機関を受診してください。

まとめ

スマホやパソコンからくる肩こりは、目から首の付け根、背中、骨盤へと広がる連鎖の結果、肩甲骨が外側へ広がってしまうことで起きています。肩甲骨が外にずれたままでは、表面の僧帽筋をいくら揉んでも、引っぱられたゴムのようにこりは残り続けます。肩と首の境目のこりに長年悩んでいた50代の男性も、骨盤から順に整え、最後に肩甲骨を内側へ戻したことで、頑固な肩こりが和らいでいきました。まずは、うつ伏せの手の位置や後ろ姿で、ご自分の肩甲骨の状態を確かめてみてください。一宮市の整体院アクシスでは、骨盤から肩甲骨まで全身のつながりを確認し、あなたの肩こりがどこから来ているのかをわかりやすくご説明します。

この記事を書いた人

整体院アクシス 院長 笹井公詞

2005年11月、一宮市に「整体院アクシス」を開院。整体師歴23年。
腰や肩の痛み、手足のしびれ、膝痛など、体の不調に苦しむ人のために、骨格矯正を中心とした整体施術で地域に貢献。これまで延べ45,000人以上のお客様の健康に携わる。

院名:整体院アクシス
住所:愛知県一宮市富士3丁目9-18
TEL:0586-25-5707
HP :https://hcc-axis.com/

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