肩こりをほぐしてもすぐ戻るのはなぜ?——肩甲骨を「下から支えるもの」と「横から引っぱるもの」

肩こりをほぐしてもすぐ戻る理由を、肩甲骨を下から支える力と横から引っぱる力の関係から示したイラスト。肩を押さえてつらそうにする女性と、肩甲骨周辺の筋肉に働く力を示す青と赤の矢印を描いている。

「マッサージに通っても、整形外科でリハビリを続けても、肩こりが変わらなかったんです」

当院に来られた50代の女性は、最初にそうおっしゃいました。肩こりが酷く、腕も上がりにくい状態。10代と30代のころに交通事故に遭われた経験があり、肩のつらさとは長いお付き合いでした。

ところが施術の途中、股関節を整えた直後に、こんな言葉が出てきました。「股関節をゆるめてもらったのに、肩がスーッと楽になりました」

肩こりをほぐしてもすぐ戻る。その理由は、多くの場合「肩そのもの」にはありません。このコラムでは、当院での実際の施術例をもとに、肩こりが戻ってしまう本当の理由と、見直してほしいポイントをお伝えします。

目次

肩こりの中心は「肩甲骨のゆがみ」——筋肉だけほぐしても戻る理由

首から肩にかけて「こり」を感じる筋肉の多くは、肩甲骨(背中の上部にある、左右一対の平たい骨)についています。肩甲骨は、肩の筋肉にとっての「引っかけ所」です。

そのため、肩甲骨の位置がゆがんだままだと、筋肉は同じ方向に引っぱられ続けます。肩をほぐしてその場はやわらかくなっても、引っぱられる条件が変わらなければ、数日でまた元の硬さに戻ってしまうのです。

たとえるなら、傾いたハンガーに掛かったシャツのようなもの。シワをいくら手で伸ばしても、ハンガーが傾いたままなら、しばらくするとまた同じところにシワが寄ります。肩の筋肉がシャツ、肩甲骨がハンガーです。

では、何が肩甲骨をゆがませているのか。当院では大きく分けて、肩甲骨を「下から支えるもの」の崩れと、「横から引っぱるもの」の影響、この2つを見ています。

下から支えるもの①——肋骨と背骨

肩甲骨は、肋骨の上に乗るようにして背中側に浮いています。骨同士ががっちり組み合った関節ではなく、肋骨の表面を滑るように動くのが特徴です。

その肋骨と、肋骨がつながる背骨がゆがむと、関節や筋膜(筋肉を包む薄い膜)が硬くなり、肩甲骨がなめらかに滑れなくなります。乗っている台がガタついていれば、その上のものも落ち着かないのと同じです。

肋骨や背骨がゆがんでいる方の中には、肩こりと同時に「呼吸が浅い」と感じている方もいます。どちらも同じところから出ているサインなので、肋骨や背骨を整えると肩甲骨の動きがやわらぎ、肩こりも呼吸も一緒に楽になっていきます。

下から支えるもの②——土台の股関節(50代女性のケース)

さらに下をたどると、背骨の土台である骨盤、そして骨盤と脚をつなぐ股関節に行き着きます。

股関節の外側には、大転子(だいてんし:太ももの骨の付け根にある、外側の出っ張り)があります。この大転子の位置がずれて股関節の噛み合わせが崩れると、骨盤が安定しません。そのゆがみは背骨を通って上へ上へと伝わり、最終的に肩甲骨の位置まで狂わせてしまいます。

冒頭の50代女性も、まさにこのケースでした。骨盤と股関節を順に整えていったところ、特に股関節を矯正した直後に「股関節をゆるめてもらったのに肩がスーッと楽になった」と、その場で実感されたのです。

マッサージやリハビリで肩をほぐしても変わらなかったのは、肩こりの大きな原因の1つが、肩から遠く離れた股関節のゆがみにあったからでした。昔の事故やけがの影響が、何年もたってから土台のゆがみとして残っている——そうした可能性まで含めて体を診ることを、当院では大切にしています。

横から引っぱるもの①——もたれる・寄りかかるクセ(60代男性のケース)

次は、横から肩甲骨を引っぱるものです。代表的なのが、日常の「もたれる・寄りかかる」クセです。

60代で自営業の男性は、仕事柄車に乗ることが多く、運転中はいつも車のひじ掛けに左肘を乗せていました。さらにテレビを見るときは、左手で頭を支えながら横向きに寝て見るのが習慣。この2つが重なって背骨が左に偏り、いつも左の肩ばかりがこっていました。

片側に寄りかかる姿勢を毎日くり返すと、背骨はその形を覚えたように固まっていきます。背骨が片側に偏れば、肩甲骨の高さや位置にも左右差が生まれ、片方の肩だけが引っぱられ続けます。これが「いつも同じ側の肩ばかりこる」理由の一つです。

この方は背骨の曲がり方がかなり強かったため、ある程度整えるまでに6回ほどかかりました。3回目から徐々に楽になり、5回目にはだいぶ改善されていました。長年のクセでついた偏りは、1回で元通りとはいかないこともある——これも正直にお伝えしておきたいことです。

ソファのひじ掛けにもたれてテレビを見る、横向きに寝てスマホを見る、頬杖をつく。いつも同じ側でしていることがあれば、同じことが起こりえます。

横から引っぱるもの②——手首と腕

もう一つの「引っぱり」が、手首や腕です。親指の付け根のふくらみ(母指球)から力こぶを通り、胸の筋肉(小胸筋)まで、筋膜はひと続きにつながっています。スマホやパソコンで親指や前腕を使い続けると、このラインが縮こまり、肩を前へと引き込みます。さらに、前腕の2本の骨の間にある膜(骨間膜)が硬くなって、腕がねじれたまま固まっていることもあります。

手首が肩こりにつながる仕組みは、記事の最後にご案内している肩こりの症状別ページで詳しく解説しています。

当院が「肩だけ」をほぐさない理由——整える順番

当院独自の整体法では、肩こりの方でも、いきなり肩を揉むことはしません。まず骨盤・股関節、次に背骨・肋骨、そして肩甲骨・鎖骨、最後に手首へと、体の中心から末端に向かって順番に整えていきます。

先に下からの支えを整え、そのあとで横からの引っぱりを外す。この順番が逆になると、せっかく緩めた肩甲骨が、崩れたままの土台や残った引っぱりに、また引き戻されてしまいます。肩こりの「ほぐしてもすぐ戻る」を終わらせるには、何をするか以上に、どの順番で整えるかが大切なのです。

セルフチェック——あなたの肩こりは「支え」型?「引っぱり」型?

ご自分の肩こりがどちら寄りか、次の傾向を目安にしてみてください。

下からの「支え」が崩れているかもしれない方

  • 昔、交通事故や転倒など、大きなけがをしたことがある
  • 片方というより、両肩とも全体的に重い
  • 股関節や腰にも硬さや違和感がある

横から「引っぱられて」いるかもしれない方

  • いつも同じ側の肩ばかりこる
  • ひじ掛けにもたれる、頬杖をつくなど、片側に寄りかかるクセがある
  • スマホやパソコンなどで、手をよく使う

両方にあてはまる方もいます。また、腕が上がりにくいといった症状は、どちらからも起こります。あくまで目安として、ご自分の体を見直すきっかけにしてください。

まとめ

肩こりをほぐしてもすぐ戻るのは、ほぐし方が足りないからではありません。肩の筋肉がついている肩甲骨が、下からの支えの崩れや横からの引っぱりによってゆがんだままになっていることが、戻りをくり返す大きな理由です。股関節を整えた直後に肩が楽になった50代の女性も、ひじ掛けのクセで背骨が偏っていた60代の男性も、原因は肩から離れた場所にありました。「何をしても戻る」とあきらめる前に、一度、肩以外の場所から体を見直してみませんか?一宮市の整体院アクシスでは、骨盤・股関節から手首まで全身を確認し、あなたの肩こりがどこから来ているのかを、わかりやすくご説明します。

この記事を書いた人

整体院アクシス 院長 笹井公詞

2005年11月、一宮市に「整体院アクシス」を開院。整体師歴23年。
腰や肩の痛み、手足のしびれ、膝痛など、体の不調に苦しむ人のために、骨格矯正を中心とした整体施術で地域に貢献。これまで延べ45,000人以上のお客様の健康に携わる。

院名:整体院アクシス
住所:愛知県一宮市富士3丁目9-18
TEL:0586-25-5707
HP :https://hcc-axis.com/

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